Combined effects of two nonlinearities in lifespan of small solutions to semi-linear wave equations

開催日時
2014/12/19 金 15:30 - 17:30
場所
3号館251号室
講演者
肥田野久二男
講演者所属
三重大学教育学部
概要

Wei HanとYi Zhouは論文
``Blow up for some semilinear wave equations in multi-space
dimensions''
(Comm. Partial Differential Equations Vol.39 (2014), 651-665)のなかで,
|u|のq乗と|u_t|のp乗という二つの項の和を非線形項にもつ波動方程式の
初期値問題を考察し,
滑らかで小さな初期値を与えるとき,
この2項の和による効果によって
解の最大存在時間(ライフスパン)は意外な形で
上から評価されることを発見しました. 

そこで解のライフスパンを「下から」評価する問題に取り組み,
彼らが見つけた上からの評価が果たして最適かどうかの検証に取り掛かりました.

解u自身を斉次ソボレフ空間{\dot H}^{1/2-1/q}_2において評価する方法と、
解の一階の導関数を評価する標準的なエネルギー法を組み合わせることにより,
空間次元が2と3の場合にライフスパンの精密な下からの評価を得ることが出来て,
HanとZhouが得ていた上からの評価式は多くの場合に最良であることを確認すること
が出来ました.

またさらに, ぎりぎりの「臨界」の場合には,
解の有限時間での爆発は起こらず,
時間に関して大域的に解が存在しているという
予想外の結果も得ることが出来ました.