数学特別講義(微分幾何学Ⅰ)Seiberg-Witten理論

開催日時
2017/01/10 火 15:00 - 18:00
2017/01/11 水 10:00 - 12:00
2017/01/12 木 15:00 - 18:00
2017/01/13 金 10:00 - 12:00
場所
3号館127大会議室
講演者
古田 幹雄
講演者所属
東大・数理
概要

Seiberg-Witten理論について、理論的構成を中心とした解説を行う。
Spin$^c$構造が与えられた4次元多様体の上でSeiberg-Witten方程式と呼ばれる偏微分方程式系が定義され、ゲージ対称性と呼ばれる大きな対称性をもつ。
(1)  Seiberg-Witten方程式の解のモジュライ空間:
Dirac作用素に対するWeitzenbock公式を用いてモジュライ空間のコンパクト性が示される。さらにモジュライ空間の基本類が定義されるとき4次元閉多様体の不変量を与える。その際U(1)接続全体に対して同時にゲージを固定することが可能であるため、大域的な有限次元近似を利用することができる。
(2)  一般ホモロジーを用いた不変量:
上記(1)の基本類は一般ホモロジーで定義することが可能である。特に、枠付き同境群と安定ホモトピー群とは同等な不変量を与える。
(3)  Seiberg-Witten方程式の変種:
・方程式の摂動:(1)(2)の議論はSW方程式をある条件を満たす範囲で摂動してもそのまま成立する。
・方程式の対称性:Spin$^c$構造をあるやり方でひねった構造に対しても並行した構成が可能である。
(4)Floerホモトピー型:
3次元閉多様体においてSeiberg-Witten Floer
ホモロジーに対応する安定ホモトピー型を与えようとするとき、二種の課題がある。ひとつはMorse理論をそれに対して考えるべき関数がRではなくS$^1$値になること。もうひとつは有限次元近似を構成するための位相的な障害が存在することである。これらについての現状を説明する。