2020年度ガロア祭 懸賞問題優秀者発表・出題者からの講評

開催期間
2020/06/19 金

2020年度ガロア祭 懸賞問題 優秀者発表と出題者からの講評

新型コロナウィルスの影響により、懸賞問題とその優秀者発表のみの縮小した形となりましたガロア祭ですが、例年と同じくらいの懸賞問題への解答提出がありました。解答をお寄せいただいた皆様、本当にありがとうございました。

懸賞問題 優秀者発表

大賞 : 奈須隼大 さん

次点:立松蓮 さん

出題者特別賞: 西川寛人さん

以上の方々には数学教室よりささやかですが賞品と賞状を差し上げたいと思います。 さらに、大賞の方には日本評論社から数学セミナー一年分が送られます。 賞品の受け渡しに方法等については対象者に後程連絡を差し上げますので、楽しみにお待ちください。

出題者からのコメント・講評

問題1(雪江明彦)

西川寛人君がスッキリした解答を書いてくれてよかったと思います。

問題2(伊藤哲也)

(ii)では皆さん、いろいろなことを考えてみてくださり、読んでいて楽しいものが多かったです。 出発点は安直な(?)ものですが、そこから一歩踏み出すと、未知の、そして研究課題へとながっていく、といったことを感じ取ってもらえたら幸いです。 さて、(i)ですが、皆さんの答え、本当に正しいですか? 「できるだけ長く」と書いたので、無限の長さのものも考えてみると・・・?

問題3(伊藤哲也)

2^10=1024ということですぐに気づいたのか、この問題は、数学でよくある『一般化したほうが道筋が立つ』といった問題です。解答された方は皆さんよくできていました。

問題4(中安淳)

実際に計算してみると集合Aの形が容易に想像がつくためか、非常に出来がよく、解答してくれた方はほぼ正解でした。

ところで稠密集合であることを示すのに逆数に注目する解答が見られましたが、実は集合Aを計算する際にも逆数に注目すれば見通しがよいです。 つまり変換$y = \frac{1}{x}$をすると$F_1, F_2$に対応する写像は$G_1(y) = \frac{1}{2}y$と$G_2(y) = \frac{1}{2}y+\frac{1}{2}$となり、 yが区間$(0, 1)$上の二進小数とする際に、$G_1$は$1$桁右にシフトし空いた位に$0$を入れる写像、$G_2$は$1$を入れる写像となり、$A$の元の逆数の集合は$(0, 1)$上の二進小数全体であることが感覚的には容易にわかります。 この辺りの写像の直感的な意味を指摘するレポートがあれば素晴らしかったのですが、 それに近いことを言った西川寛人さんの答案は後半部分の議論が甘かったのが残念でした。

問題5 (荒野悠輝)

このようなグラフをすべて書きくだすことができるのですが,具体的にグラフを書き下すことまで到達した答案は2つで,そのうち奈須隼大さんは(1つ誤ったグラフが含まれていることを除いて)ほぼ完全な分類を与えてくれました.単純路$v_1 v_2 \dots v_n$に対し$a(v_1) > a(v_2)$ならば,$a(v_k) > a(v_{k+1})$であって,とくに${\rm deg}(v_k) \leq 2$という事実に気づくと見通しよく解けると思います.

問題6・7 (入谷寛)

問題6, 7共に出題者は答えを知りませんでしたが,面白い解答を寄せていただき ありがとうございました.6の立松蓮さんの解答は興味深いものでした.また7に ついては奈須隼大さんと田中健太郎さんの解答は面白い発想でした.

どちらも私は思いつきませんでした.


学部生の皆さんに広く数学専攻の活動を知ってもらい、 また専攻を選択する際の参考にしてもらうためのお祭りです。 若くして活躍した代表的な数学者の一人ということでガロアの名前を冠することにしました。 主に理学部の1〜2回生を対象としていますが、もちろんそれ以外の方の参加も歓迎いたします。 多くの皆さんの参加をお待ちしております。

懸賞問題について

懸賞問題から好きなだけ解答してください。 優れた解答を、ガロア祭6月19日に発表、 表彰し賞品を出します。

解答提出先

電子化した解答を

galois2020(at mark)math.kyoto-u.ac.jp

((at mark)は@へ変えてください)
宛に6月11日(木)17:00までにお送りください。

※ 新型コロナウィルスのため、今年度のガロア祭は講演を中止し、 懸賞問題とその優秀者発表のみの縮小した形で開催させていただきます。