Date
2025/06/24 Tue 16:45 - 18:15
Room
6号館809号室
Speaker
祐川翼
Affiliation
京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点
Abstract
保存量をもつ反応拡散系では, ストライプ状の空間パターンが空間的に単調なパターンに収束するような遷移ダイナミクスが数値シミュレーションでみられる. 本研究ではこのダイナミクスを数学的に理解するためのトイモデルとして反応拡散コンパートメントモデルを導⼊した. これは複数の領域上で定義された反応拡散系を連立し, 各領域間に拡散結合を課したものである. 本講演では遷移ダイナミクスに関する先行研究を紹介した後, 次の二つの話題を扱う.
N-モード定常解における線形化固有値問題:
遷移ダイナミクス理解のため, コンパートメントモデルにおけるN-モード定常解の安定性を考える. 講演では固有値・固有関数についてこれまでに得られた結果について紹介し, また, 領域が一つの場合における定常解の安定性との関係について議論したい.
ダイナミクスの縮約:
この話題ではトイモデルとしての解析から離れ, 各領域におけるパターンの積分量が従うODEを形式的に導出することで, コンパートメントモデル特有のダイナミクスの理解を試みる. 導出したODEの解析から, 拡散結合のパラメータを変えることで, 領域が一つのモデルにおいて不安定なパターンでも, コンパートメントモデルでは安定になりうることが示唆された. 講演では対応する数値実験結果も紹介する.