フラクタル上のラプラシアンに対する解析学

Date
2021/10/13 Wed 16:45 - 17:45
Speaker
梶野 直孝
Affiliation
京都大学数理解析研究所
Abstract

フラクタル上のラプラシアンに対する解析学は,フラクタルにおける熱や波動
といった基本的な物理現象を厳密に記述し解析することを目標とする研究分野
である.フラクタル上では通常の偏微分の概念が意味をなさないため,自然な
「ラプラシアン」をどのようにして定義するべきか(また何を以て「自然」と
するべきか)は極めて非自明な問題となる.これに答えるには個々のフラクタル
の幾何学的特性に対する慎重な考察が必要になり,この数年間の講演者の研究
により幾分の進展は見られたものの,現在でもごく限られた範疇のフラクタル
に対してしか満足できる解答は得られていない.

本講演の前半では,1980年代後半以来よく研究されてきた古典的な場合である
Euclid自己相似的フラクタル上のラプラシアンについて,その構成法を解説し
熱核・固有値の漸近挙動などの基本的な結果を紹介する.
続いて本講演の後半では,講演者が2015年から取り組んでいる研究で得られた,
Klein群(Riemann球面上の1次分数変換のなす離散群)の作用で不変な円詰込
フラクタル(の幾つかの具体例)において
「幾何的に自然なラプラシアンが構成できWeyl型固有値漸近挙動が成り立つ」
という結果を紹介する.ここで固有値漸近挙動の主要部はフラクタルのHausdorff
次元・測度で与えられ,これを以てラプラシアンは「幾何的に自然」と称している.

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