アレクサンドロフ空間の向きと基本類

Date
2015/05/12 Tue 15:00 - 16:30
Room
6号館609号室
Speaker
三石史人
Affiliation
東北大学
Abstract

アレクサンドロフ空間とは, (局所的に)曲率が下に有界な距離空間であり,
完備リーマン多様体や完備リーマン軌道体や凸多面体の境界などはその例となります.
アレクサンドロフ空間は, リーマン多様体の崩壊理論の観点から重要であり,
その幾何や位相を徹底的に調べることによって, リーマン幾何へのフィードバックを与えます.
今回は, アレクサンドロフ空間の基礎的な位相幾何学的研究を目標にします.
アレクサンドロフ空間は, 特異空間であり, 一般に多様体でなく, また(コ)ホモロジー多様体でもありません.
その様な空間に対して, それぞれの応用の為に独立な文献で,「向き」の概念が定義されています.
素朴な問題は, その同値性です. また, (コ)ホモロジー多様体や位相多様体で通常考えられる
向きの定義との関係も調べます. 特に, アレクサンドロフ空間が閉であったとき,
「基本類」の存在性と, (適切な意味での)向き付け可能性は同値であるか, という問いも考えられます.
今回は, それらの問題にすべて肯定的解決を与えます.
講演では, 上記の事と, 向きの概念を使った応用や, 今後考えるべき問題を皆様にお伝えする予定です.