数学特別講義 (確率論) 無限対称群の確率論と調和解析

Date
2017/05/22 Mon 15:00 - 17:00
2017/05/23 Tue 15:00 - 17:00
2017/05/24 Wed 10:00 - 12:00
2017/05/25 Thu 15:00 - 17:00
2017/05/26 Fri 10:00 - 12:00
Room
3号館108号室
Speaker
洞 彰人
Affiliation
北大・理
Abstract

自然数の有限置換全体のなす群が無限対称群であり、対称群の増大族の帰納極限である。そこでの既約表現の分岐則の全体像を記述するのがヤンググラフである。ヤンググラフの分岐構造がうみだす確率論的現象はたいへん興味深い。無限対称群の指標の分類が1960年代にトーマによってなされた。1980年頃からのヴェルシックとケロフによる無限対称群に関する一連の研究は、トーマの結果の別証明を与えるのみならず、無限対称群の調和解析と確率論やエルゴード理論との間の実り豊かな関係を明らかにした。この源流は徐々に太い流れとなって現在まで続いているように思う。この講義では、ヴェルシック・ケロフ理論の紹介を含め、無限対称群とヤンググラフを表裏一体のものとして展開される確率論と調和解析の話をしたい。ひとつの到達目標として、無限対称群のボホナーの定理(無限対称群上の正規化された正定値類関数とヤンググラフのマルチン境界上の確率測度とのアファイン同相対応)の十分に具体的な記述を示すことを挙げておこう。