Interplay between "numerical analysis of differential equations" and "data science"

Date
2023/11/08 Wed 16:45 - 17:45
Room
3号館110講演室
Speaker
Yuto Miyatake
Affiliation
Osaka University
Abstract

微分方程式の数値解法のうち,シンプレクティック性といった解の数理的構造を離散化後も再現する解法を総称として構造保存数値解法あるいは幾何学的数値解法と呼び,過去30年の間に,主に数学をバックグラウンドに持つ研究者を中心に活発に研究が進められてきた.従来,物理分野などで現れる微分方程式を質良く数値計算することが主眼であったが,近年では,データサイエンス等への新しい応用も活発に議論されている.本講演では,具体的な研究事例として,数値線形代数(特に連立一次方程式)および不確実性定量化への応用例を紹介したい.
例えば,連立一次方程式の解をある種の微分方程式の解の平衡点と捉えれば,微分方程式の数値解法の視点から連立一次方程式の数値解法が生成でき,特に構造保存数値解法の考え方で優れた解法を導出できることがある.また,微分方程式を扱う応用分野で、未知パラメータの推定や予測,またその信頼度(不確実性)を定量化するためには,随伴方程式と呼ばれる微分方程式を時間逆向きに計算しなければならないが,その際には,シンプレクティック解法の考え方を活用した離散化が適切である.主にこの二点について,背後の理論も含め紹介する予定である.