Fano多様体のモジュライ理論へのKahler-Einstein計量の応用

Date
2015/02/04 Wed 16:30 - 17:30
Room
RIMS110号室
Speaker
Yuji Odaka
Affiliation
Graduate School of Science, Kyoto University
Abstract

 Fano多様体とはおよそ「曲率正」の代数多様体/複素多様体であり,1次元(代数曲線)ではRiemann球面ただ一通りしかなかったために,そのモジュライの研究は歴史も他の代数多様体に比べて浅いように思われますが,そもそも2次元(Del Pezzo曲面)以上では大変豊富な例と変形をもつ上に,森理論等の代数多様体の分類理論の立場からは基本的な「ブロック」ですのでそのモジュライ理論を考えたくなります.

ここ数年私たちは満渕-向井(1990頃)による先駆的な研究に感化され,最近(よい)ファノ多様体の代数的なコンパクトモジュライ空間の構成の一般論を粗い意味で完成させたのでその報告をしたいと思います.(この話は部分的にC.Spotti, S.Sunとの共同研究です.)

鍵となるのは,二木昭人先生による談話会でも話されると期待されるKahler-Einstein計量の存在問題という微分幾何的背景(Yau, 松島,二木,満渕,Tian, Donaldson, etc)であり,それを少々復習した後に,如何に我々の焦点であったモジュライ問題に応用するか,そのアイデアはどこから来ていたかの説明をもしたいと思います.より古典的で詳しく調べられてきたコンパクトリーマン面,安定曲線(Myers, Deligne-Mumford)もちょうどKahler-Einstein計量(双曲計量)をもつものと特長づけられるのでそちらと統一的に論じる事もできます("K-moduli").