First-passage percolation（FPP）は，格子の各辺にランダムな重みを割り当て，二点間の通過時間の最小値を調べる古典的な確率モデルであり，ランダム媒質中を進む流体や感染拡大の挙動を記述する。また，通過時間やそれを実現する測地線（geodesic）の幾何を通じて，ランダム幾何の基本的なモデルを提供する点でも重要である。

近年，通過時間の揺らぎや尾部確率の挙動が，Kardar–Parisi–Zhang（KPZ）普遍クラスにみられるスケーリングとの関連から注目されている。本講演では，FPP における通過時間の揺らぎと測地線の幾何に関する既知の結果に加え，最近得られた尾部評価に関する進展を紹介する。また，KPZ 方程式との関係に関する未解決問題にも触れる。

16:15 - Tea