The Moduli Space of Polynomial Maps and Their Fixed-Point Multipliers

開催日時
2016/05/13 金 14:00 - 17:00
場所
6号館609号室
講演者
杉山 登志
講演者所属
灘高等学校
概要

複素1変数のd次多項式f(z)は複素平面からそれ自身への正則写像であるが,その固定点におけるmultiplierたちがどのような値であるかは,f(z)の反復合成の性質を調べる複素力学系において非常に重要である。

本講演では,d個の複素数を先に与えたときに,これらを固定点のmultiplierにもつような複素1変数d次多項式f(z)が,アファイン共役のレベルで何個あるのかを完全に調べる。具体的には,任意に与えたd個の複素数の組に対して,{1,2,...,d}のべき集合の部分集合I,Kを定義する。このとき,求める個数がI,Kだけから(比較的長い手数を経て)完全に計算されることを示す。さらに,d次多項式のアファイン共役類に対して,その固定点のmultiplierたちからなる集合を対応させる写像を考えたとき,この写像の局所的なファイバー構造も,I,Kにより完全に決定されることを示す。

証明では,道具として,射影空間におけるベズーの定理を拡張したもの,および,分岐被覆の次数と交点数の関係についての基本性質を用いる。これらの道具をどのように用いるのか,証明の本質的なアイデアまで解説する。また,最近少しだけ進展がみられたので,このことにも触れる。