JSTさきがけセミナー「数理環境流体セミナー」

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No. 日程 講演者 講演タイトル
13 2011. 2. 8. (Tue) Nitsan Ben-Gal 氏 (The Weizmann Institute of Science) Non-Compact Global Attractors and Dynamics at Infinity for Slowly Non-Dissipative Reaction-Diffusion Equations
12 2011. 2. 4. (Fri.)
One of the primary tools for understanding the much-studied realm of reaction-diffusion equations is the global attractor, which provides us with a qualitative understanding of the governing behaviors of the equation in question. Nevertheless, the classic global attractor for such systems is defined to be compact, and thus has previously excluded such analysis from being applied to non-dissipative reaction-diffusion equations.
In this talk I will present recent results in which I developed a non-compact analogue to this classical concept, and will discuss the methods derived in order to obtain a full decomposition of the non-compact global attractor for a slowly non-dissipative reaction-diffusion equation. In particular, attention will be paid to the nodal property techniques and reduction methods which form a critical underpinning of asymptotics research in both dissipative and non-dissipative evolutionary equations. I will discuss the concepts of the ‘completed inertial manifold’ and ‘non-compact global attractor’, and show how these in particular allow us to produce equivalent results for a class of slowly non-dissipative equations as have been achieved for dissipative equations. Additionally, I will address the behavior of solutions to slowly non-dissipative equations approaching and at infinity, the realm which presents both the challenges and rewards of removing the necessity of dissipativity.
Rhodri Nelson 氏 (The Imperial College London) Modelling vortex-vortex and vortex-boundary interaction
Problems involving two-dimensional inviscid, incompressible fluid with regions of constant vorticity are presented for a range of geophysically motivated problem. The problems considered include periodic arrays of points vortices embedded in a background shear and the motion of point and finite area vortices on the surface of a sphere with and without barriers. For the periodic arrays of vortices, solutions for steadily translating equilibria will be sought. Both analytic and numerical solutions will be presented and their stability assessed using a time dependent contour dynamics algorithm. Such solutions are of interest as, if they can be found, then in principle such configurations will be observable in practice. On the sphere, the interaction of a single point vortex with a shear flow will be considered and the application of the system to relevant planetary systems will be discussed. Then, time permitting, an algorithm to compute the motion of finite area patches of vorticity in the presence of impenetrable barriers will be presented and the application of such an algorithm to the study of vortex `flushing' problems discussed.
11 2010. 12.24. (Fri.) 13:00-15:00 柴山 充瑠 氏 (京都大学) 衝突多様体論による可積分性の判定
N体問題における衝突特異点はパンルヴェが研究を始め, ジーゲルらが引き継 いできた伝統的なテーマである. 現在, 衝突特異点に関する理論は2種類ある. 1つはZiglin解析, 微分ガロア理論に代表される複素微分方程式的な理論で, 主に特異点のまわりのモノドロミーの情報から可積分性を判定するために用いられる. もう1つはEastonやMcGeheeによる特異点の位相的な正則化やブローアップを基盤と する衝突特異点論である. 衝突特異点論は, 質点が非常に接近したときに起こ る特異的な現象の解析に有効である.本講演では, 衝突特異点論から斉次ハミルトン系の非可積分性のための十分条件を導き, Ziglin解析により得られる十分条件と比較する. また, 時間が許せば, N体問題における近年のいくつかの研究について紹介したい.
10 2010. 10.22. (Fri.) 13:00-15:00 佐々木 英一 氏 (京都大学) 回転球面上の帯状流の分岐
回転球面上の2次元流は、惑星大気特有の縞状構造を伴うジェット流と関連し、 また境界のない有界閉領域の流れの一例としても、興味深い。特に渦度が一つ の球面調和関数であらわされる流れ(Rossby波)は、非粘性流の線形安定性が 1970年代に調べられてたものの、不安定化後の分岐構造は未だ明らかでない。 ここでは、非回転/回転球面上で球面調和関数であらわされる2本および3本の ジェットを伴う帯状流の分岐構造を数値計算結果を2次元トーラス上での場合 (Kolmogorov問題)との比較を交えて報告する。
9 2010. 10.8. (Fri.) 13:00-15:00 小林 幹 氏 (京都大学数理解析研究所) カオス力学系の手法を用いたGOYシェルモデル乱流における間欠性の解析
乱流ダイナミクスにおいて間欠性はもっとも重要で普遍的な性質の一つであり、 それを理解することは非常に重要である。しかしながらこれまでの研究で乱流 間欠性の完全な理解が得られているとは言い難い。我々は乱流間欠性をカオス 力学系の手法を用いて解析するという新しい観点からの研究を行うことで、乱 流間欠性のさらなる理解を得る事を目指す。その第一歩として本発表では、 乱流のおもちゃモデルであるGOYシェルモデルにおける間欠性に関してカオ ス力学系解析を行う。特に、間欠性ダイナミクスを有限時間リアプノフ指数や 乱流アトラクターの接構造を用いて特徴づけた研究を紹介する予定である。
8 2009. 12.7 (Mon.) 16:30 降旗 大介 氏(大阪大学) ボロノイ格子を用いた、自由形状領域での離散変分導関数法
ある変分構造を持つ偏微分方程式は、その変分構造を離散的に再現 するように離散化することで非常によい性質を持つ禁じ数値計算を 行うことができる。これが離散変分導関数法である。この際、数学的 なキーポイントは部分積分(Gauss, Greenの定理)の離散化である。 通常は、直交座標を一定幅で分割した「きれいな」格子上で差分を 定義してこの部分積分離散化を実現するが、ボロノイ格子でも境界 と格子間ベクトルが直交していることを利用して丁寧に差分を定義 すると、やはり部分積分離散化が行える。これにより、任意形状領域 上で自然な差分法を用いて偏微分方程式の離散変分導関数法による 数値計算が可能となる。
7 2009. 8.7 (Fri.) 14:00 服部 哲弥 氏(慶応大学) Move-to-front規則,Burgers型方程式,そしてwebアクセスランキング解析
アブストラクト:2007年頃からstochastic ranking processという名前を付けて研究してきた多粒子確率模型が,半世紀 前に文献に登場し,約20年前からmove-to-front規則などの名で活発に研究さ れたことを最近知った.しかし,我々が得た位置ジャンプ率結合経験分布の無 限粒子極限定理や公式は得られていなかった.以上の歴史について,我々の視 点から概観する. 我々の結果が生き残ったことについて,蒸発項を持つBurgers型偏微分方程式の時間大局解の一意存在と結びつけたこと,ひいては,相互作用する多粒子確率過程の研究において,『経験分布の無限粒子極限が偏微分方程式の解で記述される』という流体力学極限の描像が重要であることを指摘したい. また,我々の結果をウェブのランキングに応用することで,「売り上げデータを提供してくれない」と学術論文に書かれた秘密主義をとるオンラインリテールの営業状況,特にロングテールの分析に成功したことも応用数学という視点から改めて指摘したい.
6 2009. 7.13 (Mon.) 16:30 小林 健太 氏(金沢大学) 非凸領域における有限要素解の事前誤差評価
アブストラクト: 非凸な領域において、偏微分方程式を有限要素法を用いて解く場合、 解の特異性のため非凸な角で精度が悪くなるケースがある。 この問題に対しては、非凸な角の周辺でメッシュを細かく切る、 いわゆるメッシュリファインメントが用いられることが多い。 有限要素解に対する厳密な形での事前誤差評価は、計算結果の品質保証や 精度保証付き数値計算への応用を考えると重要であるが、現在のところ 十分な研究がなされているとは言い難い状況にある。 講演では、メッシュリファインメントを用いて計算した有限要素解に対する 事前誤差評価について、講演者が得た結果を説明するとともに、 今後の課題などについても述べたい。(※本講演は北海道大学PDEセミナー として開催した)
5 2008. 6.30 (Mon.) 16:30  佐竹 暁子 氏(北海道大学) 繁殖同調の数理モデルと生態系と人間社会のカップリング
アブストラクト:  多くの植物では、種子生産量が著しく年変動し、個体間で同調することが知られている。この現象は古くから注目され、多くの野外研究および理論的研究がなされてきた。当セミナーでは、貯蔵資源のダイナミックスを捉えた資源収支モデルに焦点を当て、植物の繁殖同調を説明する理論構築と野外データを用いたモデル検証について紹介する。
 また、現在人間社会と生態系の間でのフィードバックループの重要性が指摘され、社会科学と生態学が急速に接近している。当セミナーでは、第二の話題として、人間の意思決定と森林動態をカップルした土地利用モデルを紹介する。
4 2008. 5.16 (Fri.) 16:30 千葉 逸人 氏(京都大学) Extension and unification of singular perturbation methods for ODEs based on the renormalization group method
アブストラクト: 繰り込み群の方法と呼ばれる微分方程式に対する特異摂動法の数学的基礎付けを与え、これが単に近似解のみならず不変多様体とその安定性を記述できることを示す。また繰り込み群の方法を拡張することで、多重尺度法、平均化法、Normal forms、中心多様体縮約といった古くから知られる摂動法を統一的に扱うことが可能になる。
3 2008. 1.25 (Fri.) 10:30 天野 要 氏(愛媛大学) 代用電荷法による数値等角写像の方法
アブストラクト:数値等角写像すなわち等角写像の数値計算は科学技術計算の重要な課題の一つとしてとして海外では古くから研究されている.しかし,国内の研究は少なかった.一方,代用電荷法はポテンシャル問題の高精度高速解法として知られていたが,その数学的な性質が理解されるようになったのは比較的最近のことである.この代用電荷法を利用して様々な等角写像の簡単で精度の高い近似写像関数を構成することができる.ここでは,代用電荷法による数値等角写像の方法の原理と,我々のこれまでの研究成果を簡単に紹介したい.
2 2007. 11.29 (Thr.) 16:00 雨宮 隆 氏 (横浜国立大学) 湖沼生態系管理に関する数理科学の理論と実践
アブストラクト:数理生態学から導かれた生態系の多重安定性の重要性が生態系管理 の視点から指摘されている.初めに,一般的な湖沼数理生態モデルの安定性解析か ら,神奈川県内のダム湖(相模湖・津久井湖)の富栄養化問題を湖沼生態系の分岐現 象として解釈した結果を紹介する.一方,実際に生態系を管理するには,現場に合わ せて構成した複雑な数値モデルによる予測の方が有用である.また,地理情報システ ム(GIS)の地域空間情報が生態系管理を効果的に進める上で益々重要となってい る.そこで,数値モデルとGISを融合した生態系管理に関する研究例と,相模湖・津 久井湖を対象とした研究計画を紹介する.このような個別対応型の環境数理科学に数 学的な方法論を見出すことができるかどうか議論したい.
1 2007. 11.12 (Mon.) 16:00 泉 典洋 氏 (北海道大学) 水工学における地形動力学問題
アブストラクト:河川や海岸を扱う水工土木工学における重要な問題の一つに,河床形態や海岸・ 海底地形の自己形成問題がある.これは,土砂で構成される底面と流れの間に発 生する界面不安定現象の一種であり,不安定性によって底面上には様々な地形パ ターンが形成されることが知られている.中でも,陸上および海底における峡谷 の形成機構について述べる.時間が許せば,河川砂州,河川デューン,海岸カス プについての形成理論についても概要を述べる.

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