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研究分野は 応用数学(非線形解析) です.特に流体運動の背後にある複雑性を数学的に記述し理解することに興味があります(数理流体力学).流体運動の数理的側面を大規模計算から数学解析,データ解析の様々なアプローチで解明することが目的です.例えば乱流への遷移現象などといった, 単に流体方程式の解の存在や一意性の議論を越えた, 流体現象の時間推移を数理的な見地から理解することを目指しています.
私は数値計算やデータ解析手法を積極的に利用します.流体のような極めて非線形性の強い現象では数学的に何を示すべきかすら全くわからないことがしばしばありますので, 質の良い数値計算を実施して, その結果から質の良い 数学的推測(Conjecture) を得ることが重要になります.また,一般に流体の数値計算は大規模になり,そもそも数値計算自体が相当難しい場合もよくありますから,その数値計算法を開発・応用するだけでも数値解析学などに絡んで重要です.
また,流体運動は,気象,工学,医学など様々な周辺分野の課題とも深く関連しており,応用数学の研究対象として非常に豊富な話題を提供してくれます.こうした問題を理解する上では代数・幾何・解析といったありとあらゆる数学を使って解決することが望まれます.応用数学の研究を広げる上でも重要な分野です.最近の話題は以下のようなものです.
- 流体方程式の数値解析と数学解析 (Mathematical and Numerical Analysis of fluid equations)
- 乱流統計性質の理解に向けた保存系におけるエネルギー特異散逸の数学理論の研究
- 3次元Navier-Stokes方程式の適切性に関する数学的モデルの構成と解析.
- トポロジカル流体力学 (Topological Fluid Dynamics)
- 二次元ハミルトンベクトル場の流線の位相構造の分類理論(語表現)
- 流線トポロジーデータ解析(Topological Flow Data Analysisi=TFDA) 本理論の応用を検討されている方向けの解説ビデオがあります.
- カオス的粒子混合の問題(組みひも写像による位相的カオス)
- 渦力学とその応用 (Vortex dynamics and its applications)
- リーマン面上の渦力学とその応用
- 多重連結領域の渦力学理論とその応用,数値等角写像
- 流体運動と不確実性定量化(Uncertainty Quantification)
- 分野横断研究 (Interdisciplinary mathematics)
- 気象学・海洋学連携
- 医学連携
- 産業連携(企業との共同研究)
【私の研究室での研究を考えている学生さんへ】
流体現象は我々の想像を超えるはるかにリッチな数学的構造を持っているようです.私自身は「非線型力学系理論」「偏微分方程式論」「数値解析」「トポロジー」「微分幾何学」「データ解析」といった数学をいままで使っています.最近はトポロジカルデータ解析と機械学習の融合や不確実性定量化理論に興味があります.流体の数理的研究をすすめていくと,あらゆる数学的手法が有効(あるいは不十分)ではないかと思えてきます.また,数値計算によるシミュレーションによる具体例の計算は,その移りゆく美しい流体の姿とともに,その豊かな数学構造を明らかにする上で非常に重要なヒントを与えてくれます.何よりも見ていて楽しい.このようなことから,私の研究室を希望する学生さんは必ずしも流体力学に興味がある必要はありません.「応用数学」「数値計算」のいずれかが得意であればよいと考えています.足りないところを補いつつ,ともに新しい数理科学の世界を切り開いていきたいと思います.
【科学技術振興機構のプロジェクト】
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