氏名: 加藤 周 (かとう しゅう)
所属: 京都大学理学研究科 数学教室
身分: 教授 (代数グループ)
専門: 数学、特に幾何学的表現論
学位: 博士(数理科学) 東京大学 2003
主査: 松本久義
学位論文: Equivariant bundles on group completions
郵便宛先: 606-8502 京都府京都市左京区北白川追分町
京都大学理学部数学教室
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今年の予定
ICM2022での講演、スライド、予稿
いくつかの論文
- A Borel-Weil-Bott type theorem for group completions
- Published in the Journal of Algebra 259 no.2 572--580 (2003) Article
- 随伴型半単純群のDe-Concini-Procesiコンパクト化の上の任意の直線束の全コホモロジーを計算してみました。
- 同じ結果は現Lyon大のAlexis Thoudjem氏によっても独立に得られました。その後彼はさらに結果を一般化したりしています。彼の論文は[Comptes Rendes 334 2002][Ann. Sci. ENS (4) 37 2004][Bull. Soc. Math. Fr. 135 2007]です。
- Equivariant vector bundles on group completions
- An exotic Deligne-Langlands correspondence for symplectic groups
- Deformations of nilpotent cones and Springer correspondences
- Tempered modules in exotic Deligne-Langlands correspondences
- A homological study of Green polynomials
- Published in the Annales Scientifiques de l'Ecole Normale Superieure 48 no. 5 1035--1074 (2015), arXiv
- Lie型有限群の指標を司る直交関数系であるGreen関数の直交関係式をホモロジー代数を用いて解釈しました。これによりGreen関数の新しい特徴づけを導きました。さらにそれを用いてBC型Green関数のパラメタに関する遷移公式を初めとするいくつかの性質を導きました。なお、そこで得られた新しい特徴づけ自体を抽象化した概念であるKostka系とその基本的性質に関しては一般の複素鏡映群で動くように設計しておきました。
- Equivariant K-theory of semi-infinite flag manifolds and Pieri-Chevalley type formula
- Published in the Duke Mathematical Journal 169 no.13 2421--2500 (2020) Article arXiv
- 半無限旗多様体と呼ばれる多様体にはいくつかのバージョンがあります。この論文ではこれまで比較的よく研究されてきた半無限旗多様体のindモデルの結果を用いてBravermanとFinkelbergによって予想された形式モデルに関する一連の基本的な性質を導きました。このことにより、半無限旗多様体のK-群と呼ぶべきnil-DAHAと呼ばれる環の自然な作用を持つ加群を構成しました。この加群は自然に形式モデルの半無限旗多様体のSchubert部分多様体のクラスを含み、さらに(同変)直線束のひねりにより閉じているため、交叉理論が展開できます。この設定で通常の旗多様体のと同様にその交叉理論をstandard monomial theoryの一種を用いて記述しました(このことから特に自然な積の構造定数が非負の整数値を取ることなどが従います)。
- 筑波大学の内藤聡氏と佐垣大輔氏との共同研究です。
- Loop structure on equivariant K-theory of semi-infinite flag manifolds
- arXiv
- (単連結)単純代数群に付随するアフィン・グラスマン多様体の(コ)ホモロジー群と同じく付随する(有限次元)旗多様体の量子コホモロジーに関係があるという事実はPetersonにより見出されました。また、保型形式の研究や(局所)幾何学的Langlands対応の研究はアフィン・グラスマン多様体の幾何学と半無限旗多様体の幾何学が基本的に等価であることを示唆していました。この論文ではこれらを結んでアフィン・グラスマン多様体および半無限旗多様体の"(同変)幾何学"と旗多様体の"(同変)量子幾何学"の3つは数値的には自然に等価であるという類の主張を定式化して証明しました。特にその主定理は旗多様体の量子K群の構造を計算するふたつの具体的な方法を与え、そのうちの片方がLam-Li-Mihalcea-Shimozonoによる予想の解決となっています。主定理の証明は(元々の)Peterson同型のLam-Shimozonoによる証明とは本質的に異なり、詳細な構造定数の公式は使用しません(その類の"公式"は論理的にはそれまで全て予想でした)。
- Frobenius splitting of Schubert varieties of semi-infinite flag manifolds
- Published in the Forum of Mathematics, Pi 9 e5 56pp (2021) Article arXiv
- 半無限旗多様体とその放物類似の形式モデルの理論を(1/2を添加した)整数環上で展開しました。それにより半無限旗多様体を点集合として実現する代数多様体の中で[7]と同様に構成したものが標数によらず最も自然なものであること、そしてその自然さは表現論的な性質が担保していることを明らかにしました(後者の表現論的な性質も一般にはこの論文で証明しました)。このように元々別種の性質が繋がってひとつの構造をなすことは実はかなり広い設定において正しいことなのですが、明示的にそれを活用したのはこの論文が初めてだと思います。これらの性質はどちらも抽象的なものですので、それがさまざまな構造を拘束してゆき最終的に数値的帰結に至る様子はそれなりに興味深いと思っています。
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最終更新日:2022年7月14日 by