平成17年度 計算数学1 (金曜二限)
- 担当者
坂上貴之(講師)・ 玉井信也, 沼田泰英(TA)
- お知らせ
第三回目のレポートが公開されました。問題A群B群ともに8月末が締め切りです。
成績評価はレポートによって行います。(試験は行いません。) 計算数学1の評価
はレポート問題A群の成績から, 講究の評価は問題B群の成績から行います。
- 講義目的
数値解析と数値計算の数学的基礎とその応用について解説する.
単に数学の理論のみならず, その数値解析方法の計算機への実装・応用能力
も重視する.
- なぜ数学科で数値解析か?
数値解析は数理科学の 研究の最先端で必要
であるばかりか, 将来 計算機(シミュレーション)に関わる
職業につく上での基礎ともなる.
近年, 計算機の普及によってソフトウェアも充実したために
かえってその動作原理などを知らなくても結果が簡単に得られるようになったが,
このことは社会において最先端のシミュレーションのニーズが深まる一方で, その
背景にある理論の理解が深まっていないという現状を生んでいる. こうした状況
に鑑みて数学科でこうした数値計算を学ぶことには非常に意義がある.
- 評価の方法
講義はオリジナルの講義ノートに基づいて行うが、そのベースとなった
参考教科書は 共立出版「数値解析」(森 正武)である. 全体で三回から四回程度の
レポートを課す. 講義の評価は レポートですべて
で評価する.(方針を変更したので注意すること(7/1))
- 講義内容
以下の内容を講義する
- 線形方程式の数値解法 (直接法・反復法・共役勾配法)
- 非線形方程式の数値解法 (Newton法)
- 数値積分法(台形公式・DE公式)
- 常微分方程式の数値解法(初期値問題・境界値問題)
- オフィスアワー
講義に関する質問は随時受け付けるが, 事前にアポイントをとること. また, レポートで課される計算プログラムに関する課題についてはTAのオフィスアワーを利用すること. TAのオフィスアワーは 玉井(水4限) 沼田(金4限) である. また, 場所は8号館一階計算機室.
- 講義記録
- 4月8日 0. イントロダクション 1. 連立一次方程式の解法(線形方程式) 1-1 ベクトルのノルムと行列のノルム (グラムシュミットの直交化まで)
- 4月15日 1-1 つづき (ノルムの同値性・行列のノルム・スペクトル半径) 1-2 線形一次方程式の解 (行列の条件数・丸め誤差・丸め誤差の影響と条件数)
- 4月22日 1-2 つづき (丸め誤差の影響と条件数の証明) 1-3 直接法 1-3-1 Gauss 消去法 1-3-2 LU分解法(LU分解のアルゴリズム)
- 5月6日 1-3-2 つづき (LU分解から線形方程式の解を求める) 1-4 反復法 (反復法の原理, ヤコビ法・ガウスザイデル法・SOR法の紹介, 完備なノルム空間と縮小写像, 縮小写像の原理, 反復法の収束のための必要十分条件)
- 5月13日 1-4 反復法つづき(優対角行列の収束定理, 正定値対称行列の収束定理) 1-5 逐次最小化法と共役勾配法(逐次最小化法の考え方, 補正係数の導出)
- 5月20日 1-5 逐次最小化法と共役勾配法つづき(補正ベクトルの構成、アルゴリズムの構成) 2. 非線形方程式の解法 2-1. Newton法 (基本アイデアの説明, 一変数のNewton法, n変数Newton法の構成)
- 6月10日 2-1. Newton法 (n変数Newton法の収束について) 2-2 Durand-Kerner-Aberth法 (問題設定とアルゴリズムの説明) 3. 常微分方程式の数値解法 3-1 初期値問題の数値解法(初期値問題の設定, 解の存在と一意性に関する定理 <証明なし> , 数値解法の概要 )
- 6月17日 3-2 陽的一段公式 (オイラー法、ホイン法、ルンゲクッタ法、ホイン法の誤差解析) 3-3 多段階法 (イントロ)
- 7月 1日 3-3 多段階法(線形差分方程式の一般論、特性方程式、斉次方程式の解法、差分方程式の解の安定性、非斉次方程式の解)
- 7月 8日 3-3 多段階法 (非斉次方程式の解の定理証明, 多段階法の適合性・安定性)
- 7月22日 3-4 数値的不安定性, 3-5 常微分方程式の境界値問題の数値階法(差分法)
- 7月29日 3-5 常微分方程式の境界値問題の数値階法(近似誤差, 三重対角行列の数値階法)
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