第30回JST数学キャラバン「拡がりゆく数学 in 水戸 2019」

    科学技術振興機構     さきがけ「数学協働」領域

講演要旨


しい反復計算 speaker1
伊師 英之(名古屋大学大学院多元数理科学研究科・准教授)
 則演算だけで正確な解が計算できるのは(連立)1次方程式に限りますが,演算を一定の方法で繰り返すことによって複雑な方程式の近似解を計算する方法は昔から研究されてきました.なかでもニュートン法と呼ばれる方法は,比較的簡単で広い範囲の問題に適用でき,しかも精度が高いものとして知られています.この方法を実行して,操作を繰り返すたびに正しい桁が2倍,4倍,8倍と増えていく様子を見ることは,なかなか愉快です.本講演では,日本数学コンクールの問題を導入としてニュートン法を実演し,現代社会におけるその意義を紹介します.
「心」と「社会」のサイエンスを目指して
  ~人文社会科学×自然科学×数学=?
speaker2
小倉 有紀子(東京大学大学院人文社会系研究科・特任助教)
 間の心や社会はどのような仕組みになっているのだろうか――こうした「人間とは何か」にかかわる問いは、伝統的に「人文社会科学」と呼ばれる、いわゆる「文系」の学問で論じられてきました。しかしながら実際には、生物学や情報科学、数学をはじめとした「理系」の学問からのアプローチも盛んです。私たちは「ヒトも生物の一種、自然の一部」という観点から、ヒトをはじめとした動物の社会行動を自然科学の手法で研究しています。そこで重要なのがツールとしての数学です。「心」や「社会」にまつわる現象を数理モデルで記述し、現実に起こっていることをどの程度うまく説明できているのか検討する、という手続きを踏むことで、現象を客観的に説明できるようになります。本講演を通じて、「文系」と「理系」のコラボレーションの可能性について、若い皆さんと考えることができれば幸いです。
数はたくさんあるか? speaker3
山田 裕史(熊本大学大学院先端科学研究部・教授 岡山大学・名誉教授)
 数とは1と自分自身の2つだけを正の約数とする(2以上の)自然数のことである.すでに紀元前にユークリッドにより素数は無限個あることが示されている.この事実を少し高度な数学をもちいて眺めていきたい.たとえば素数と平方数とはどちらが多いか? もちろん集合論的に見ればどちらも可算無限個であるが,自然数全体の中での割合を考える,なんてことをやってみよう.微分積分がちょっとだけ顔を出す.整数の様子を調べるのに微分積分という極限が絡んだ数学が役に立つのである.数学って1つの有機体なんだ,という感想を持ってもらえたらうれしい.
学からみた生物 speaker4
鈴木 香奈子(茨城大学大学院理工学研究科(理学野)・准教授)
 口の将来予測や株価の変動予測などのように、過去・現在のデータから将来の状況を予測することに数式が用いられることは想像しやすいと思います。しかし、一見数学とは結び付かない自然現象も、数学のアイディアを用いてそのメカニズムを説明できる場合が多くあります。例えば、動物の体表の模様はどのように決まるか?なども微分方程式を用いて考えることができます。この講演では、数学を用いて現象を説明する際にカギとなるアイディアと、いくつかの例を通して数学と実際の現象とのつながりを紹介したいと思います。



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