iDynamics


iDynamics は2次多項式 z -> z2 + c のマンデルブロート集合とジュリア集合を描くプログラムです.マンデルブロート集合とジュリア集合の定義については下記の説明を参照下さい.

iDynamicsにより,様々なパラメータ,領域でのマンデルブロート集合とジュリア集合を描くことができます.絵を拡大するのも簡単なマウス操作でできます.(マウスをドラッグして長方形を選択し,その中をクリックするだけ.)また,パラメータを変化させたときにジュリア集合がどのように変化するかをリアルタイムで見ることができます.さらに,複素力学系の現代的理論では重要な役割を演じるexternal ray(外射線)と等ポテンシャル線を描くこともできます.

iDynamicsの使い方については,ヘルプメニューの"iDynamics Help"を選ぶか,付属のReadMeファイルをご覧下さい.日本語版のReadMeファイルは下からダウンロードできます.

"iDynamics"の"i"は,複素数及び複素力学系を定義するときに必要不可欠な虚数単位の i を意味すると同時に,反復合成を意味するiterationのイニシャルでもあります.

絵の例についてはギャラリーをご覧下さい.

動作環境:

このプログラムを使うためには MacOS 7.0以降のシステムで動いているMacintoshが必要です.もし可能であれば,NavigationService,やproportional scrollbarsなどの機能を使用します.スタンダード版の "iDynamics" はPowerPC搭載のMacintoshでのみ動きます.もし68K processor搭載のMacintoshをお使いでしたら "iDynamics68K" を,さらにFPUが搭載されているなら "iDynamics68KFPU" をお使い下さい.リアルタイムのジュリア集合描画やズームなどは68K搭載機種ではお勧めしません.

ダウンロード

最新版のバージョンは 0.84 です.

iDynamics (PowerPC搭載のMacintosh用, 115KB)

ReadMe 日本語版 (9KB)

iDynamics68K (68K processor搭載のMacintosh用, 104KB)

iDynamics68KFPU (68K processorとFPU搭載のMacintosh用, 99KB)

以上のソフトウェアは自由にコピー,配布して構いません.また,これらのソフトウェアによって作成した絵やムービーも自由にお使い下さい.

このプログラムによって引きおこされた問題等について私はいっさい責任を負いません.使用される際にはご自分の責任で,十分に注意してお使い下さい.

バグやご意見については mitsu (AT) kusm (DOT) kyoto-u (DOT) ac (DOT) jp までご連絡下さい.ただし,いつも返事を差し上げられるとは限りません.

 



マンデルブロート集合,ジュリア集合とは?

マンデルブロート集合とジュリア集合を定義するために次のような複素数に関する漸化式を考えます.

zn+1 = zn2 + c .

一つのパラメータ cを固定すると,初期値 z0 の値によって,複素数列 {zn} は有界にとどまるか無限大に発散するかどちらかになります.この列が有界になるような初期値 z0 の集合をパラメータ c に対する充填ジュリア集合と呼び,Kc で表します. Kc の境界はジュリア集合と呼ばれ Jc で表します. Kc と Jc が連結になるのは,2次多項式 z2 + c の特異点 0 が Kc に属するとき,そのときにに限ることが知られています.これは言い換えれば,初期値 z0 = 0 に対する上記の列が有界になるということです. Kc と Jc が連結になるようなパラメータ c の集合をマンデルブロート集合といい,M で表します.これらの集合は,「フラクタル」と呼ばれることがあります.それは,これらの集合が微細なスケールに到るまで非常に複雑な構造をもっているからです.実際,マンデルブロート集合(の境界)を次々に拡大していくと(それは iDynamics を使えば非常に簡単にできます),マンデルブロート集合の複雑さがよくわかります.ギャラリーもご覧下さい.

iDynamicsでは,ほとんどのアルゴリズム("Black & White"以外)は,充填ジュリア集合 Kc の補集合に色を付けます.その色は zn の絶対値がある値を超えるような最初の n に応じて(言い換えれば反復合成である半径から逃げ出すまでの時間に応じて)変えてあります. Kc 自身は黒またはグレーで塗られています.(グレーはアルゴリズム"Color(Boundary)"で Kc の内部を塗るのに使われています.アルゴリズム"Color(Fast)"と"Color(Accurate)"では,計算方法の限界により,ジュリア集合やマンデルブロート集合の点を含むすべてのピクセルが黒く塗られているわけではありません.このときは,いろいろな色が集積しているところにはジュリア集合やマンデルブロート集合の点があると考えるべきでしょう.

 


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