京都大学理学研究科 教 授 雪江 明彦
正の整数が素数の積に書けることはよく知られています. 有理数の集合をもっと一般化した代数
体というもので整数を考えることができ,それは不定方定式論などでも重要な役割を果たします.
しかし一般の代数体では素因数分解の一意性は必ずしも成り立ちません. それが成り立ち,不定方
定式論に応用できる例と,素因数分解がどれだけ成り立たないかを表す類数というもの,およびその
計算例についてお話しようと思います.
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京都大学理学研究科 教 授 藤原 耕二
幾何学の対象は図形ですが,普通は,平面やxyz空間の図形についての話で,ユークリッド幾何と
呼ばれます. 今回は,それとは違う,「双曲幾何」と呼ばれる幾何学について話します. 双曲幾何は現
代数学において,ユークリッド幾何と同じくらい重要な研究対象であり,道具でもあります.
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京都大学理学研究科 准教授 入谷 寛
20世紀始めに物理で発見された「量子化」ですが,現代では数学においても(その意味はやや異
なるものの)様々な場面に量子化の考え方が用いられています.本講演ではループ空間上の経路積
分の与える「量子化」を考えます.
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京都大学理学研究科 教 授 堤 誉志雄
非線形偏微分方程式では,データは滑らか(無限回微分可能)でも,解は特異性を持つことがあ
ります.これは線形偏微分方程式では起こらないことであり,非線形偏微分方程式特有の現象です.
特異性は非線形偏微分方程式の解析を困難なものとする一方で,この特異性の解析こそが非線形
偏微分方程式研究のおもしろさであるとも言えます.今回は,具体例を挙げて,非線形偏微分方程式と
解の特異性の関係についてお話ししたいと思います.
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