Karel SVADLENKA

名前
Karel SVADLENKA
役職
associate professor
Email
karel (please add @math.kyoto-u.ac.jp)
URL
https://www.math.kyoto-u.ac.jp/ja/people/profile/karel
研究分野
応用数学,変分解析,偏微分方程式,数値解析,数理モデリング
プロフィール

私の研究では実際の世界で観察される様々な現象を記述する数学的な問題を解析しています.そのような現象の例は,シャボン玉のクラスター,生物の組織における細胞配列,材料の弾塑性変形,障害物に衝突しながら振動する膜やCOPDという病気における肺構造の破壊などといったものがあります.

例として挙げた現象のほとんどは「変分構造」を持ちます.つまり,ある積分型汎関数の極小値・最小値または停留点を求める問題として定式化できたり,もしくは非線型偏微分方程式の解として見なすことができたりします.

例えば,シャボン玉は表面積をできるだけ小さくしようとしているため,極小曲面の形で落ち着きます.そのような形状をとっていないシャボン玉 $\Gamma$ は表面エネルギー
$$ E[\Gamma] = \sigma \int_{\Gamma} \mathrm{~d} S \qquad\qquad \mathrm{(1)} $$
を最も早く減少させるような変形をします.この変形は,石鹸膜の各点がその点での平均曲率に比例する法線速度で動く,いわゆる平均曲率流という運動になることが知られています.つまり,
$$ \boldsymbol{v}= - \sigma \kappa \boldsymbol{n} . \qquad\qquad \mathrm{(2)} $$
数学的に興味深い現象がおきるのは,石鹸膜がちぎれたり,複数のシャボン玉が融合したり,くっついたりするときです.このようなときは位相変化が起こり,運動に特異性が現れます.この特異性に対処するには,レベルセット法という数学的なアプローチが開発されています.界面をある関数 $u$ のレベルセットで表現し,平均曲率流の場合は対応する $u$ の支配方程式が
$$ \frac{\partial u}{\partial t}- \sigma | \nabla u| \text{div} \left( \frac{\nabla u}{| \nabla u|} \right) = 0 \qquad\qquad \mathrm{(3)} $$
となり,特異性に対応可能な弱解を構成することができます.

この例は私の研究している理論の主な構成要素を示しています.すなわち,曲面の無限次元空間での最小化の対象となる汎関数 (1) ,解析の対象となる対応する幾何学的運動 (2) ,そして,この解析の一つの道具となる非線型偏微分方程式 (3) です.

冒頭に紹介した応用例のそれぞれに面白いところ・難しいところがあります.例えば,弾性体の変形の場合,ベクトル値関数を扱うのに加え,最小化する汎関数が非凸なため,関数解析や変分解析の高度な手法を必要とします.

本研究で興味があるのはこのような問題の数学的解析だけではなく,自然科学の他の分野で解明しようとされている問題の適切な数理モデルの構築やそのシミュレーションに利用できる効率の良い数値スキームの開発です.

詳細は 個人ホームページ を参照していただけると嬉しいです.