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 応用数学グループ

研究テーマ

Fluid topic

遷り変わる流体運動に潜む数学構造の解明(坂上 貴之)

とどまるところを知らず絶えず美しい様相を見せながら変わり続ける「ながれ」の現象は,私たちを魅了してやみません.こうした「絶えず変わり続ける」流れにはどのような数学的構造があるのでしょうか?あらゆる数学と数値計算を使って,このような問題の解明をはかる私の研究です.乱流といった複雑流れの解明から環境・生命・工学に現れるさまざまな「ながれ現象」の数理モデルの解析を扱っています.使っている数学は,トポロジー,微分幾何,数値解析,非線形力学系,偏微分方程式論,確率論と様々な分野にわたります.最近は数理気象学という新しい分野の立ち上げや,応用計算関数論といった数学の応用の展開にも興味があります.
キーワード:渦力学・位相流体力学・乱流理論・数理気象学・データ同化


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力学系理論とその応用(國府 寛司)

力学系は,決定論的法則に従って時間と共に変化するシステムを数学的に定式化したものです.高校で習う漸化式(差分方程式)や,解の存在と一意性定理に基づいた常微分方程式は,力学系の典型的な例です.我々の世界は時間を無視して語ることはできず,時々刻々変化するシステムが示す多種多様な振る舞い(ダイナミクス)を理解することは自然科学や科学技術の基本的な問題といえます.力学系理論はそのような問題を数学的に解き明かすための基礎となる学問分野です.
その研究対象は数学自身の内在的な問題はもちろん,応用上も,宇宙探査ロケットの軌道設計から遺伝子制御ネットワークのダイナミクス,化学反応系や自然界の様々な現象に見られるパターンの形成など,天体力学や電気・電子工学や機械工学,生物学・生命科学,経済学など,力学系理論が関係する諸科学・諸分野は枚挙に暇がありません.また力学系の研究方法は,純粋数学から応用数学まで,様々な数学分野と関係しており,皆さんの興味や得意とする分野に応じて,おもしろい問題やアプローチはたくさんあります.
私は特に,力学系がパラメータによって変化する仕方を調べる「力学系の分岐理論」を研究しています.そのアプローチも,解析的な方法だけでなく,最近はトポロジーと計算機援用解析を融合した方法も用いています.それに関連して,図形や画像を位相幾何学のホモロジーという道具を用いて解析する「計算ホモロジー」にも興味を持っており,それを用いた新しいダイナミクスの解析方法を見出したいと思っています.
キーワード:力学系・分岐・トポロジー・計算機援用解析・計算ホモロジー


トポロジカルデータ解析

トポロジカルデータ解析(平岡 裕章)

膨大なデータが手に入るようになった現在では,データに現象を語らせるデータ科学研究が活発になってきています.複雑なデータ構造の本質を捉える記述子を開発することはその中心的課題であり,私は「データの形」に着目する記述子開発を行うトポロジカルデータ解析の研究を行っています.トポロジー,表現論,確率論,機械学習などを融合させた新たな数学手法を開発すると同時に,材料科学をはじめとする諸科学の問題へ応用する研究も行っています.
キーワード:パーシステントホモロジー・表現論・ランダムトポロジー


Interface topic

自由境界問題・界面運動(カレル シュワドレンカ)

液滴や泡に代表される界面の運動に関係する偏微分方程式とその数値解法について研究しています.例えば,水滴が固体の障害物の上を動く現象は,水滴の「縁」の位置が未知であるから,微分方程式を解く領域も問題で求めるべき情報の一つとなり,発展方程式に関する自由境界問題に分類されます.このような問題は変分解析や幾何学と深いつながりがあります.
また,複数のシャボン玉がくっついたような界面ネットワークの運動のモデリング,解析と数値計算にも興味があります.このような問題はシャボン玉に限らず,材料科学(結晶成長・フォーム・新材料開発)や生物(細胞組織の形成・病気の診断)など,多くの分野に興味深い応用をもっています.
キーワード:偏微分方程式論・変分法・自由境界問題・界面運動・数値解析


MHDダイナモと回転球殻対流

回転成層流体の運動(佐々木 洋平)

「地球流体力学」という気象力学・海洋力学からそのエッセンスである「回転」と「成層」を抽出した流体力学の一分野を専門に研究をしています.現在の研究テーマは「磁気流体の運動と磁場生成維持(ダイナモ理論)」と「球状流体の表層平行流の形成」です.どちらも不安定と分岐,パターン形成に関連する興味深いテーマです.また,これらにまつわる大規模な数値解析を効率よく進めるためのソフトウェア開発も行なっています.
キーワード:地球流体力学・磁気流体力学・数値流体力学・数値解析


偏微分方程式の数値解析

偏微分方程式の数値解析:理論・応用・実践(榊原 航也)

身の回りに潜む多くの自然現象は,ある数理モデル(多くの場合は偏微分方程式)により記述されます. その数理モデルに解が一意に存在するか,漸近的な振る舞いはどうなるか,を理論的に調べるのが,いわゆる偏微分方程式論(解析学)と呼ばれる分野です. しかしながら,それだけでは,解が持っている豊かな構造をすべて炙りだすのは困難であり,現実的には,数値計算を行なって解の振る舞いを調べることが多いです. この数値計算が上手くいくことを数学的に証明するのが,数値解析の研究者の大きな仕事の1つとなります.
私は今までに,基本解近似解法(代用電荷法)と呼ばれる,ある種のメッシュフリー解法の数学的基盤「理論」の構築に尽力し,ある程度の結果を得てきましたが,近年は,Hele-Shaw 問題(界面が時々刻々と変化する流体力学の移動境界問題),3Dケーブルモデル(心筋細胞上の電気信号の伝わり方を記述するモデル),点渦力学系(渦度を点渦の重ね合わせにより近似するHamilton系)など,様々な問題に「応用」し,それぞれのモデルの持つ,多様な数理的構造を見出すことにも興味を持っています. これらの研究をさらに進めていくのはもちろんのこと,結晶粒界(Kobayashi-Warren-Carter モデル),バイドメインモデル(3Dケーブルモデルをさらに洗練したモデル)など,基本解近似解法の範囲を超えた,より複雑な,しかしながら非常に重要な問題に対する数値解析も行なっています. これらの問題は,材料科学や生理学の分野で大きな研究テーマであり,工場での焼きなましのさらなる効率化や,AED の機能向上などに繋がる可能性を秘めています. その意味で,実社会への貢献という面での「実践」活動に相当します.
「理論・応用・実践」のどれか1つに縛られるのではなく,すべての方向性に目を向けながら研究し,数値解析分野の発展に寄与したいところです.
キーワード:数値解析・基本解近似解法・移動境界問題・構造保存型数値解法・点渦力学系・調和写像流・バイドメインモデル