京都大学応用数学セミナー(KUAMS)

京都大学理学研究科数学教室では、数学の諸分野への応用研究や応用につながる可能性のある数学,また将来において数学の応用が期待される研究分野などから幅広く講師を国内外からお招きし,月一度のペースでセミナーを開いています.応用数学の特性を活かした幅広いテーマで刺激に満ちた講演を多数行っていますので,専門家の方のみならず興味をもたれる関係分野の方の参加を歓迎いたします.

 

今後のセミナー予定

 

第44回:2017年10月20日(金)14:00−15:30

板谷 慶一(京都府立医科大学大学院医学研究科 心臓血管外科)
「心臓血管領域の流体力学」

概要: 近年のIT技術の進歩に伴い,医療データの管理や解析も進歩している.特に3次元の動画を扱う画像技術はダイナミックに拍動する心臓において病気や動態をとらえるうえで極めて重要な位置づけを示してきた.一方,心臓や血管の中には血液が流れていて,心臓血管病では病気に伴い異常な流れが発生するため,流れを把握することが治療のストラテジーに大きくかかわることがあり,流体力学が大きな力を発揮する.
我々は医用画像や循環器生理学に流体力学を持ち込むことで,様々な方法で血流を可視化するツールを開発してきた.また,単に「新しい可視化ソフトウェアを構築した」というだけにとどまらず,病気や治療の本質を流体数理や流体物理に基づいて考察することにより,心臓血管外科手術の仮想手術シミュレーションや心不全や動脈硬化疾患での予測医療を実施することが可能にもなりうる.本稿では数理技術と臨床症例の具体例を通じて流体数理がもたらす循環器医療への影響について議論する.

備考:開催曜日と時間がいつもと異なりますので,ご注意ください.場所は変更がなく,理学6号館809号室です.

 

第45回:2017年10月31日(火)16:30−18:00

宮路 智行(明治大学先端数理科学インスティテュート)
「Conley-Morseグラフによる時系列解析の生体信号への応用」

概要: Conley-Morseグラフの方法は,グラフアルゴリズムとトポロジーを応用して,力学系の大域的な構造を回帰的な部分(およびそのダイナミクスの情報)とそれらの間の勾配的な関係に分解して求める計算手法である.与えられた写像や常微分方程式に対しては,区間演算を用いた精度保証付き数値計算を援用することで,数学的に厳密な結論を得ることができる.最近では,数理モデルを介さず,実験や観測で得られた時系列データにこの手法を適用し,データの背後にある力学系の情報の把握を目指す研究が行われてきている.本講演では光電式指尖容積脈波(photoplethymograpm, PPG)の時系列データへの応用を紹介し,現状と課題について議論したい.