京都大学応用数学セミナー(KUAMS)

京都大学理学研究科数学教室では,数学の諸分野への応用研究や応用につながる可能性のある数学,また将来において数学の応用が期待される研究分野などから幅広く講師を国内外からお招きし,月一度のペースでセミナーを開いています.応用数学の特性を活かした幅広いテーマで刺激に満ちた講演を多数行っていますので,専門家の方のみならず興味をもたれる関係分野の方の参加を歓迎いたします.

 

今後のセミナー予定

 

第62回:2019年7月30日(火)15:00−18:00

15:00 - 16:30
Jordan Hauge(京都大学)
「A new transform approach to the complex Helmholtz equation」

概要: The complex Helmholtz operator is a ubiquitous operator that arises in multiple fields, ranging from thermal conductivity measurement to electrochemical impedance spectroscopy. Motivated by the absence of analytical tools used to solve the complex Helmholtz equation in non-separable domains, we present a new transform approach to solve the complex Helmholtz equation in convex polygonal domains. We use the approach to obtain new analytical solutions related to electrochemical impedance spectroscopy, and the 3\omega method. [Joint work with Prof. Darren Crowdy]

16:30 - 18:00
竹内 博志(中部大学)
「サンプル写像のパーシステンス解析」

Takeuchi_san概要: 本講演では,講演者のサンプル写像のパーシステンス解析の研究について,動機・先行研究・理論的枠組み・最近の結果を紹介する. 位相的データ解析では,データ中のトポロジー(穴や空洞など)とその大きさを数学的に表す,パーシステントホモロジーが中心となって,データ解析手法の研究が進められている.パーシステントホモロジーは,データのノイズに強いこと(安定性)が保証されており,数値計算との相性が良い.開発された手法は計算機に実装され,材料科学・画像解析・機械学習などを交えながら,実際のデータへの応用が盛んに行われている. サンプル写像とは,ある全体の写像があったとき,その有限な部分集合(サンプル)のことである.サンプル写像の研究では,サンプル写像のみから全体の写像を復元することを目標とする.この動機は実データ解析に基づくもので,人間の観測出来るデータは高々有限であり,観測データの動きを支配する写像(力学系)が,サンプル写像のみからどの程度復元できるかを調べることで,観測データの振る舞いを理論的に特徴付けることが出来る.本研究では,2015年にH. Edelsbrunnerらが提唱したサンプル力学系の固有空間解析の手法を参考に,全体の写像のホモロジー誘導写像を復元し,パーシステントホモロジーを用いて解析する手法を提案した.これにより,観測データのトポロジカルな振る舞いを抽出する.この解析手法はノイズに対して安定性があり,誤差を事前に評価出来る. 最後に,時間に余裕があれば,講演者の最近の応用研究についても紹介したい.