八ヶ岳フレッシュマンセミナー
第6回 2004年10月8日(金)〜11日(月)
日本数学会教育委員会の主催により,2004年度の数学科および
関連学科の新入生および大学2、3年生のための少人数セミナーを
八ヶ岳山麓泉郷で下記の通り行います。本セミナーの目的は、
少人数のセミナーを通して大学での数学の勉強の仕方を学び、
さらに数学の研究者、大学院生、学部学生と寝食を共にして
話し合う機会を作ることを目的とします。
八ヶ岳フレッシュマンセミナー実行委員会
深谷賢治、斎藤秀司、神保道夫、上野健爾
日時: 10月8日(金)(午後集合)〜10月11日(月)(昼食前解散) 3泊4日
場所: 八ヶ岳自然文化園(長野県諏訪郡原村) http://www.lcv.ne.jp/~bunkaen/
宿泊:原村ペンションビレッジ
交通:
(JR) 中央本線 茅野駅下車→原村ペンション行き、又は美濃戸口行き バス40分→
原村第2ペンションヴィレッジ (ペンション下)下車、徒歩5分
(車) 中央自動車道(小淵沢I.C.)→八ヶ岳鉢巻(はちまき)道路経由15km→
八ヶ岳自然文化園
中央自動車道(諏訪南I.C.)→10km→八ヶ岳自然文化園
滞在費 1人1日 約9,000円(3食付き)
滞在費の一部を援助できる可能性があります。旅費は各自の負担になります。
セミナー:
10月8日の午後は講師による講義を行い、その後セミナーを行います。セミナーは5コースを予定しています。セミナーにはチューターとして大学院生、学部学生が参加する予定。各コース定員4名。参加者は主として4月からの新入生、現在の大学1、2年生を中心にしますが、大学3年生も歓迎します。
コースおよびテキスト:
1.「代数学講義」 (高木貞治著,共立出版)
講師:齋藤修司(東京大学大学院数理科学研究科・教授)
2.「一階論理入門」バーワイズ著
講師:新井敏康(神戸大学大学院自然科学研究科・教授)
論理は、それを使えるという意味でみなさんよくご存知のこと
と思います。ここではそれを研究対象にした「数理論理学」の
入り口のところをやります。いわば日本語を不自由なく使える
ひとが、日本語について考えるようなものです。
このセミナーでは、論理を勉強し始めていくと最初に出会う
定理「ゲーデルの完全性定理」のところを読み、時間があれば
「完全性定理の応用」まで読み進めたいと考えています。
原著は
Jon Barwise, An introduction to first-order logic,
in:J. Barwise, ed., Handbook of Mathematical Logic
(North-Holland , Amsterdam, 1977), pp. 5-46
です。
現在、邦訳をつくっているところです。
邦訳をセミナー参加者にはセミナーで配布します。
3. 「連分数」アーノルド著
講師:武部尚志(お茶の水女子大学理学部・助教授)
小学校の頃、分数の形に応じて「真分数」・「帯分数」・「仮分数」
という名前を習いますが、「連分数」というのもある形をした分数
の一族の名前です。具体的には、帯分数の分母にまた帯分数が入り、
その帯分数の分母がまた帯分数で、…、と続くもののことで、この
連鎖が無限に続くものも考えます。
なぁんだ、ただの分数か、大学生のやるもんじゃないね、と思った
あなたは甘い。この本を見ると連分数とその一般化について現代の
最先端の数学が関わっている事が分ります。が、このセミナーでは
そこまではやれません。主に「実数の連分数による近似」と「周期
的連分数は二次無理数である」という定理について読みます。
原著は
http://www.mccme.ru/mmmf-lectures/books/books/book.14.pdf
で読めます (PDFファイル)。訳は
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~takebe/mmmf-lectures/
にあります(現在推敲中です)。セミナー参加者にはセミナー前に
印刷したものを送付します。
4. 「解析力学講義」(斎藤利弥著,日本評論社)
講師:坂井秀隆 (東京大学大学院数理科学研究科・助教授)
古典力学は 17 世紀からの歴史をもち,科学の理論的記述に
おける規範となっています.
20 世紀における 2 大理論である相対論,量子論にしても,
解析力学と無関係に語ることは不可能だろうと思います.
現在においても新たな展開が付け加えられており,2001 年
には 3 体問題の新しい解の発見が興味深い結果として話題に
なりました.
セミナーでは,第 4 章,制限三体問題を中心に勉強しようと
思います.数学的に見たとき,宇宙に 2 つの質点だけが存在
するようなとき,つまり 2 体問題は完全に解けることが
わかっていますが,たとえば太陽と地球と木星の運動と
いったような 3 体問題は一般には解けないことが知られています.
3 体問題は解けないといいましたが,問題が解けるかどうかと
いうことにはいろいろな解釈がありえます.
どのような意味で解けるのか,解けないのかということを
考えながら,実際に具体的な計算に触れることで,数学的な
考え方になれることができたらいいと思います.
5. 「Analytic Number Theory」(D. J. Newmann 著, Springer)
講師:黒川信重(東京工業大学大学院理工学研究科・教授)
Zagier: D.Newman's short proof of the prime number theorem.
Amer.Math. Monthly 104 (1997), no. 8, 705--708
6. 「微分トポロジー講義」(J. W. ミルナー, 蟹江幸博訳,シュプリンガー・フェアラーク東京)
(原著:J. W. Milnor, Topology from the Differentiable Viewpoint, Princeton Univ. Press)
講師:橋本義武(大阪市立大学大学院理学研究科・助教授)
幾何学はその昔,直線や円のような単純な形をした図形を対象としていました.
近代になって,座標の考え方が現れて,図形を表す方程式を調べるという方法が加わり,
さらに微分積分が登場すると,どんな微分可能な関数のグラフを考えてもいいようになって,
その結果,複雑に曲がった図形にまで幾何学の研究対象が広がりました.
現代の幾何学には,大雑把に言って,
図形を表す方程式を調べる代数幾何学,図形の曲がり具合を測る微分幾何学と,
図形の複雑さを測る位相幾何学(トポロジー)があります.
今回みなさんと一緒に読んでみようというのは,トポロジーの本です.
この本で考える対象は「多様体」です.
定規とコンパスが使えるようになると,たとえば円や正6角形を描いてみるこ
とができるようになりますが,
多様体とは,線型代数と微分積分が使えるようになったら,
わたしたちの心の中に描いてみることができるようになる図形たちのことです.
まずはじめに,線型代数と微分積分を定規とコンパスのように使って,多様体
を描いてみましょう.
続いてわたしたちは,「写像の次数」「オイラー数」といった位相不変量に出
会います.
位相不変量とは,図形の複雑さを測る物差しのことです.
そして,これらの物差しの仕組みを理解する鍵が,
実は「図形のイプシロン近傍」というささやかなアイデアの中に隠れているの
を見ていきます.
最後に,このささやかなアイデアが,トポロジーの中でも最も深い洞察の一つである
「ポントリャーギン構成」を生み出すところまで見届けたいと思います.
応募方法:
8月31日必着で
1. 氏名、所属大学、所属学部・学科・学年
2. 連絡先住所(帰省先など休み中の連絡先も要)、電話 Fax 番号
3. e-mail アドレス
4. 希望するコース(上の番号)を第一希望、第二希望まで記すこと.
を記した葉書、手紙、Faxを
606-8502 京都市左京区北白川
京都大学理学研究科数学教室 上野研究室
八ヶ岳セミナー係
へ送付してください。e-mailの場合は mugen@math.kyoto-u.ac.jp に手紙と同じ要領で送って下さい。
申し込み多数の場合は先着順とします。
606-8502 京都市左京区北白川 京都大学理学研究科数学教室
上野研究室 八ヶ岳フレッシュマンセミナー係
Tel: 075-753-3707 Fax: 075-753-3707 Email: mugen@math.kyoto-u.ac.jp